見えない何かと戦う者たちへ
「…」
やはり
美結は顔を紅葉のように赤くさせるだけで
何も言わなかった。
どうやら
昨日のことを思い出しているようで
恥ずかしいのと嬉しいので頭がいっぱいのご様子だ。
「「…」」
明日香と垣内は
顔を合わせた。
美結が押さえているのは
右の頬。
そしてソノから手を伸ばしたという
発言。
まさかだと思うが…
「「ソノが人に触れた!?」」
明日香と垣内は立ち上がった。
そんなことをしてしまうのも
しょうがない。
あのソノが
人に触れるなんてことあり得るはずがない。
だが
二人の叫びに美結はコクッと首を
縦に動かした。
その瞬間
二人は立ったままかたまった。
異常なほど
店内の騒音が三人の耳へ届いた。
外はもう完全に
日が落ちている。
美結はまだ頬を赤らめているが
ぼちぼちと帰り支度を始めた。