見えない何かと戦う者たちへ

「…帰る前にいいか?」



店をあとにして
三人は近くの駅まで来ていた。


その間、
明日香と垣内は口を一切開かなかった。


何か話そうと色々話題をふった美結だったが
結局口を閉じはじめ静かになった。


聞こえるのは
雨が傘に跳ね返る音だけ。





「…なによ、垣内」





いつもの皮肉っぽい明日香の垣内に対する態度に
鋭さがない。

ソノのことをよく知る二人にとって
よほどのニュースだったのだ。





「明日、
ソノに潔癖症のこと治したいか聞いてみる
もしソノが治したいって言ったら…」


「協力するっ!」「協力するわよ」





美結と明日香の食い気味な返事に
思わず垣内に笑みがこぼれた。

なんだか楽しくなってきたなと
口角が上がるのを手で隠す垣内を見守るように
ほほ笑む明日香がいた。



それを見てまた
微笑む美結がいた。






その後、
グループチャットを作成し
明日香、垣内、ソノ、美結…

「懍も可哀相だし入れよーか」

「味方は多い方がいいもんねっ!」

「まぁいんじゃねーの?」

…ということで懍も加わり
5人のグループLONEができた。
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