見えない何かと戦う者たちへ

「まいすいーとえんじぇる!
あなた様はもう存在が罪だ!
薔薇のような唇に、
ハナミズキのような白い肌!
あぁ、その口で是非ともわたくしを罵ってほしい!」



今学校は
お昼休みだ。

ソノは横目で彼を見ていた。

彼は同じ特進クラスとは思いたくないほど
かなり浮いた存在で変人だ。

クラスの皆は彼を"中二病"と呼んでいる。





「中二病、うるさい」

「わたくしがうるさい!?
それは姫に言ってくれ!
あの美しさがわたくしをこうも大胆にさせるのだ!
あぁ、姫よ、いや、女神よ!」

「…」






注意したことに後悔する明日香に
対して懍は激しく同意しているようだった。






「美結てきに
どーなのあれ?」

明日香は懍の存在を無視して話を進めた。

「うーん…」

美結はイチゴメロンパンを
頬張りながら考えていた。






「気持ち悪いかな?」

「…。考えた結果、そのセリフ?」

「オブラートに包んでみた!」

「…そーなんだ、それで…」

「そこもいいよねっ!あっよだれが…」







懍は相変わらず美結に関することになると
頼りなくなる。

明日香はだいたいすべてのことに対して
テキトーだからなんとも言えない。

美結は
パンを1つだけ食べ終わると席をたった。







「よしっ!じゃあ、私今週週番だから
ちょっと先生のところにいってくるね~」







机に置いていた愛らしい桃色の水筒も
全て鞄に突っ込むと
慌ただしく教室を後にした。


「…そーいえば懍
あんた朝の掃除はどうなったの?」

出ていった美結の背中を見送りながら
明日香は聞いた。




「んー意外といいやつだったから
忠告だけした」


「へぇー忠告(脅し)ね…」




二人ともまた
食べ終わっていない弁当に手をつけ始めた。


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