ハナノナミダ
「……ん…」
どうやらあのまま泣きながら寝てしまったらしい。
ずしりと重い荷物が乗っかかっているような体を起こし、ふらつきながらも立ち上がる。
すると、部屋の襖がスッと開いた。
「あぁ、起きてたのかい。」
出てきたのは、『遣り手婆』と言う遊女全体の面倒をみるお婆さん。
その様な人が私にこう言ったのだ。
「華…だったね。あんたは今夜から客の相手をするんだよ」
「…え…」
「早く働いて、早く借金を返しな。そうじゃなきゃここからは一生出られないよ。」
借金って…なんで私が返さなきゃいけないの…
遣り手婆は私をきつく睨む。
「…幸い、あんたは顔は良しだ。育てれば良い遊女になるだろうね」
「ち、ちょっと待って!!客の相手って…やっぱり…」
『知らない男の人とは嫌だ』そう言おうとした時だった。
「なんだい、自信がないのかい。身を売られる分際で、よく拒否しようと出来るねぇ。」