ハナノナミダ
私が少し困っていると美男子の人は目を細目ながらこう言った。
「聞き覚えねぇな。俺達は江戸から京へ上洛するだけだ。」
上洛…
……もしかして、まだ新選組出来ていなかったのだろうか。
「じ、じゃあ!貴方達って……土方歳三さんと沖田総司さんですよね!?」
私がそう言うとこの人達は目を見開き、真っ直ぐな視線で私を見た。
「…何故、知っている。」
「……!」
美男子の人は腰の横にある刀を抜き、私の首もとにあと数mmで当たりそうなギリギリのところに近付ける。
何か不味いことでも言ってしまったのだろうか…。
「君、どうして僕達の名前知ってるの?初対面なのに。
まさか僕達、そんなに有名なのかなー?」
「そんなわけねぇだろうが」
この時代は新選組がまだ出来ていなかったから。彼等のなまえも…まだ有名じゃなかったのか。
余計なことを言ってしまった…。
…学校で習ったから…と言ったらどうなるかな?
……もっと怪しまれる。一体どうすれば…
「総司、トシ、その辺にしておいたらどうだ。ほら…この子も怖がっているだろ?」