ハナノナミダ
シニタイ

何故










「ん…」




意識が朦朧とする中目にした所は、暗くて薄汚く、誰も住んでいなさそうな建物だった。


ツンとカビ臭いにおいが私の鼻を擽る。




部屋中埃だらけで汚ない…一体、ここはどこなの…?




キョロキョロと部屋全体を見渡すと、なにか出口のようなものがある。

私は、直ぐ様その出口に近寄り取っ手を開けようとしたその瞬間、





私の身体は魂が抜けたように動け無くなり、固まってしまった。





「うっひゃっひゃっひゃ!いたぞ!おいお前ら!!」



「逃げても無駄だったなぁ?借金野郎の生意気娘さんよぉ?」



馬鹿にしているような笑い声と口調で動けないでいる私を見下ろす。




…誰

借金野郎の娘ってどういう事?
ヤクザ?


にしても…こいつら、妙に古臭い…。着流しのような服を着てるし…

意味分かんない…


私は、こいつらを睨み付けた。どういう事なのかよく分からないし、なんで私がこいつらに狙われなきゃいけないのかも不明。

だけど…このままでは危険だと言うことだけがわかる。






「なんだその目は!?俺らをなめていんのかああ!?」



近寄るな。




「お前は、売られるんだよ!!」




来るな。





「てめえの父親が借金を払えなかった分、てめえでなんとかするんだな!!」





触るな。







「こいつは吉原行きだな!!ぎゃっはっは!今すぐはこんじまえ!!」





嫌だ、来ないで





やだ――――――!!



ショックで声も出なくなった途端、私はまたもや気を失ってしまった。





























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