Another moonlight
次の瞬間、アキラはその男に飛び掛かり、腕を捻りあげて押さえ込んだ。

「いててっ!!何するんだよっ!!誰だオマエ?!」

少し気の弱そうなその男は、精一杯の虚勢を張った。

「何するんだじゃねぇよ!オマエこそ誰なんだ?!」

「僕はかわいく撮れた写真と手紙を大好きな女の子に届けに来ただけだ!!」

「オマエか、盗撮写真やら手紙やらポストに放り込んでんのは!!サロンに妙な電話したりしてんのもオマエなんだろう!!」

アキラが更に強い力で腕を捻ると、男は今にも泣き出しそうな顔で叫ぶ。

「うあぁっ、離せぇ!!痛いだろ!!オマエになんか関係ないじゃないか!」

「あいにくな!見逃すわけにはいかねぇんだよ!」

(関係なくて悪かったな!!オマエと一緒でオレが一方的に好きなだけだよ!!)

こんな男にさえ、ユキとは関係ないと言われることが腹立たしい。

アキラは男の腕を捻り上げて足をはらい、うつ伏せに床に倒した。

ドカッとその背中に乗って男を押さえ込んだままポケットからスマホを取り出して警察に電話を掛けた。

それからユキに電話をしようとしてためらい、スマホをポケットに戻した。

(はぁ…オレ気が小せぇな…。)

< 106 / 220 >

この作品をシェア

pagetop