Another moonlight
うなだれて大きなため息をつくユキを見て、エリコとホノカは顔を見合わせた。

「ユキ…どうしたの?」

エリコが心配そうな顔をして尋ねると、ユキはまたため息をついた。

「エリコさん…私、同じこと言われてる…。」

「え?」

「どういうこと?」

ユキの言葉の意味がよくわからなかったのか、エリコとホノカが同時に聞き返した。

「別のオーナーコミュニティーで知り合ったショップオーナーの彼に、付き合って半年くらいで、結婚して大きめの店舗付きの一軒家を買って一緒に店をやろうって。まさしく今、その資金を半分は出してくれって言われてる…。」

エリコの詐欺未遂事件と酷似したその内容に、エリコもホノカも唖然とした。

「まさか…同一人物…?」

「ユキ…彼の家とかお店に行ったことある?」

ユキはタカヒコと付き合ってきたこれまでのことを振り返る。

(だいたいの場所は聞いてるけど、会うのはいつも、私の家の近くだし…。あれ…?そういえば家には一度も行ったことない…?)

「お店はあるけど家は行ったことない。」

「彼とはどこで会ってるの?ユキの家からちょっと離れた場所に住んでるって言われなかった?」

「うん。だいたいの場所は聞いてる。遠いからって、会う時はいつも彼が来てくれる。月に1度か多くてもせいぜい2度だけど。」

「その人、痩せ型でまあまあイケメンで背が高くて、優しいでしょ?たまにしか会わないのに、あんまりエッチはしない。違う?」

ここまで一致していたら、もうクロとしか言いようがない。

ユキはまた肩を落としてため息をついた。

「…違わない。」

「ビンゴだ。名前は多分偽名だよ。私の時もそうだったみたいだし。」

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