Another moonlight
八代の話を聞いたアキラとマナブは、全身から血の気が引く思いで愕然としている。

「なんだそれ…?」

「まさかホントにそんなことが…?」

八代は調査書類をマナブに手渡してため息をついた。

「オレも最初は戸惑ったよ。別々の件を追ってたら繋がったんだからな。」

マナブは調査書類に目を通しながら、八代から聞いた話を頭の中で反芻した。

「これ完全にまずいよな…。アキ、どうする?」

「どうする?って言われても…。オレもどうしていいかわかんねぇよ。」

とりあえず落ち着こうと、アキラはタバコに火をつけた。

八代はビールで喉を潤して、眉を寄せた。

「なんにせよ…今一番危険な立場にいるのは…彼女だ。」

「えっ…オレじゃなくて?」

アキラが驚いて聞き返すと、マナブは調査書類をアキラに手渡した。

「前の時も直接被害を受けたのは女の方だ。」

「女の恨みは女に向くんだよ。しかも今回は、前より更に恨みが増すだろう。」

「そんな…あいつは何も悪くないのに…。」

「彼女とこの男が一緒にいるところに遭遇なんかしたら最悪だな。」

混乱する頭で、アキラはどうすれば最悪の事態が防げるのかを考える。

(やっぱ方法はこれしかねぇ…。オレがカンナと結婚して遠くへ行けば…。)

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