Another moonlight
月明かりの下の二人
アキラとユキが和解してから2週間が過ぎた。
二人は以前のように、仕事が終わると一緒に食事をしたり、バーでお酒を飲んだりしている。
あまりにも長かったアキラの片想いもようやく報われたのだと、マナブもミナも思っていた。
「えっ?嘘だろ?!」
驚いたマナブが思わず声をあげた。
その拍子にタバコの灰がポロリと落ちる。
「…嘘じゃねぇよ。指一本触れてねぇ。」
アキラは恥ずかしそうにそう呟いてタバコに口をつけた。
「なんだそれ…どんだけ純情だよ…。二人は付き合い出して超ラブラブなんだと思ってたぞ…?」
「……悪かったな。付き合ってもねぇよ。」
「マジか…!!」
確かに和解はした。
そばにいてくれとも言ったし、そばにいてやるとも言われた。
けれどアキラもユキも、好きだとか付き合おうとか、お互いにそれらしいことは一言も言っていない。
二人でいても以前と同じく、愛とか恋とか、それらしいことはまったくない。
「なんでだよ?あん時、二人して手ぇ握り合っていい雰囲気だったじゃん!!」
「あれはなんちゅうか……酔った勢い?」
アキラはしきりに恥ずかしがっている。
「もしかして、また友達に逆戻りか!!」
「どうだかな…。とりあえず今は、ユキがいりゃそれでいいかなって。」
アキラはずっと片想いをしていたユキに触れるどころか、想いを伝えることもためらっているらしい。
マナブはアキラの純情ぶりに呆れてため息をついた。
「アキさぁ…いい加減ガキじゃねぇんだから、好きだってちゃんと言えよ。またカンナの時みたいに曖昧になってもいいのか?」
「良くねぇよ。良くねぇけど…。」
「けど…なんだ?この際だから吐け!!洗いざらい吐き尽くせ!!」