Another moonlight
「なぁ、オマエら付き合っちゃえば?案外うまくいくんじゃね?」

マナブが笑いながらそう言うと、アキラとユキは散々言われ続けてきたその言葉にうんざりして、同時にため息をついた。

「マナまでそんな冗談やめろって。」

「そうだよ。アキとは有り得ないでしょ。」

マナブは少し首をかしげて考える。

「何が有り得ないの?」

「今更、アキとやらしいことするなんて考えられない。」

ユキが真顔で答えると、アキラは口の中に含んだビールを吹き出しそうになった。

「バーカ、それはこっちの台詞だ!!オレだってこんな色気もへったくれもねぇやつとは無理だっつーの!!」

「だから案外って言ってんじゃん。1度くらい試してみなきゃわかんねぇだろ?」

マナブが涼しい顔をしてそう言うと、アキラはまたため息をついた。

「試す気はない。」

「私だって試される気はない。」

「ふーん?オマエらおもしれぇなぁ…。」

「どこがだよ…。」

アキラは小さく呟いて、グラスに残ったビールを飲み干した。

「おいユキ、そろそろ帰んぞ。」

「えっ、もう?」

「これ以上ここにいたら、色ボケバーテンダーに毒される。家まで送ってやるから、とっととそれ飲め。」

なんだかんだ言って、やっぱりアキラはユキの彼氏みたいだと思いながら、マナブはニヤニヤ笑っている。

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