Another moonlight
「なんか、えらそうだからやだ。」

「えっ、やだ?!」

うろたえるアキラの顔をユキはイタズラな目で見上げる。

「結婚してくださいって言えたら、アキを私の旦那にしてやるよ。」

「なんだそれ…なんの負けず嫌いだよ…。オレがユキを嫁にしてやろうと思ってんのに…。」

アキラは大きくため息をついた。

そんなアキラを見て、ユキはおかしそうに笑う。

「しょうがねぇな。一生ユキだけを大事にするって約束するなら、アキの嫁になってやる。」

アキラは苦笑いを浮かべて、ユキをそっと抱き寄せた。

「バカ…一生大事にするに決まってんだろ…。」

アキラは照れ臭そうに頬をかいて、繋いでいたユキの手の甲に口付けた。

「絶対離さないし、幸せにする。ユキ、愛してるからオレと結婚してください。」

「うん…いいよ。」

エレベーターが目的の階に着いた。

ドアが開く前に、アキラは慌ててユキから手を離す。

その様子がおかしくて、ユキはまたクスクス笑った。

「そんな笑うなよ…。」

「だって…。」

アキラはエレベーターを降りると、もう一度ユキの手を取って、指を絡めて繋ぎ直した。

「新しい部屋、一緒に探しに行くか。」

「うん。」

「あっ、でもやっぱ…ユキの気が変わらねぇうちに先に買いに行くか。」

「何を?」

「…指輪だよ。」





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