Another moonlight
翌月、二人は新居に引っ越した。

アキラの職場とユキのサロンのちょうど中間辺りにある築5年のマンションで、南向きの部屋の間取りは2LDK。

表札には“真山 晃・愛弓”の文字が記されている。

アキラがプロポーズをした日の2週間後に二人は入籍した。

長い付き合いなのでお互いの親も諸手を上げて二人の結婚に賛成して、だったら早く籍を入れろと急かされた。

引っ越し先が決まると慌ただしく入籍を済ませ、仕事の後はせっせと引っ越しの準備をした。

引っ越しから10日ほど経ち、ようやく落ち着いて新婚生活が送れるようになった。

夜は同じベッドで抱き合い寄り添って眠り、朝は愛する人の温もりを感じながら目覚める。

一緒に朝食を取り、行ってきますと行ってらっしゃいのキスをして、一足先にアキラが仕事に出掛ける。

それからユキは洗濯や台所の片付けなどの家事を済ませてサロンへ向かう。

夕方になり仕事を終えて帰ったアキラが洗濯物を取り込んで、風呂の掃除をする。

ユキの仕事が終わる頃になると、アキラはユキをサロンまで迎えに行く。


その日の夜。

サロンからの帰り道、手を繋いで二人で歩きながら、アキラは空を見上げた。

見上げた夜空には真ん丸い月がぽっかりと浮かぶ。

「今夜は満月だな。」

「そうだね。」
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