Another moonlight
月明かりに照らされた二人の影は、しっかりと繋がれている。

アキラはいつか満月を見上げてユキへの片想いに胸を痛めたことを思い出し、小さく笑みを浮かべた。

「もう友達じゃないし、安心して狼になれるな。」

「ん?何それ?」

「男はみんな狼ってことだ。オレはユキにだけは必死でそれを隠してたけどな。」

「ふーん?アキ、狼になりたかったの?」

「当たり前だ。オレだって男だからな。人が必死で我慢してんのに、ユキはオレの前では無防備だっただろ?何度食ってやろうと思ったことか…。」

少し大袈裟なアキラの口振りに、ユキは思わず吹き出しそうになる。

「しなかったけどね。」

「できるわけねぇじゃん。ユキにだけは嫌われたくなかったんだよ。何よりも大事だからな。」

「そっか…ありがと。」

最近アキラは以前より素直にユキに気持ちを伝えるようになった。

少し照れ臭いような気もするけれど、アキラに愛されていることがひしひしと伝わってきて嬉しいとユキは思う。

「でももう遠慮はしねぇからな?満月じゃなくても残さず食ってやる。」

「そんなのわざわざ言わなくていいよ、バカ…。」

ユキが恥ずかしそうに呟くと、アキラはユキを抱き寄せて髪を撫でた。

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