Another moonlight
「私のことよりさ…アキはいいの?」

ユキの問い掛けの意味がいまいちよくわからなくて、アキラは眉を寄せた。

「は?何がだ?」

「私を泊めたりしたら、彼女怒るんじゃない?私は彼氏が女友達を部屋に泊めたりしたら、いくら何もないって言われても疑うしイヤだけど。」

ユキの言うことはもっともだ。

自分だって逆の立場なら、めちゃくちゃ怒るだろうとアキラは思う。

とは言え今は状況が状況だし、余計な心配を掛けるよりは黙っていた方がいいような気もする。

(ってか…カンナも嫉妬したりすんのか?)

アキラはタバコに火をつけて、少し首をかしげた。

「なぁ、ユキ…彼女と女友達の違いってなんだと思う?」

「…は?何それ?」

ユキはポカンとしている。

「質問変えるか。ユキが彼氏と付き合い始めたきっかけってなんだ?」

今までそんな話をしたことがなかったのに、アキラが突然そんな質問をしたので、ユキは呆気に取られている。

「きっかけ…?付き合ってくれって言われたから…?」

「ふーん…。」

(きっかけってそんなもんか…?じゃあオレが付き合おうってもっと早く言ってたら、ユキは…。)

「なんで急にそんなこと聞くのよ?」

ユキに尋ねられて、アキラは我に返る。

友達でいることを選んだのは自分なのに、今更何を考えているのか。

もういい加減、いつまでも昔の恋心を引きずるのはやめなければと、アキラはさっき頭に浮かんだことをかき消そうとした。

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