Another moonlight
「知り合いからよく聞くんです。アキくんにはユキさんって言うすごく仲のいい女の人がいて、二人でバーにいるのをしょっちゅう見かけるって。」

「…そうですか…。」

彼女であるはずのカンナは月に2度ほどしか会っていないのに、ユキはアキラと家が近所と言うこともあり頻繁に会っている。

ユキはカンナに無言で責められているような気がした。

今までアキラといることにやましいことなんてひとつもなかったけれど、彼女にとっては穏やかではなかったのだろう。

よくよく考えてみれば、当たり前のことなのかも知れない。

小さな子供ならまだしも、いい歳をした大人の男女が頻繁に一緒にいると、それだけで深い仲だと思われる。

「ユキさんは…アキくんとはどういう関係なんですか?」

かなり思いきって尋ねたのだろう。

カンナの顔が強ばっていた。

「腐れ縁と言うか…中学時代からの友達なんです。付き合ったこともないし…今だって近所に住んでるから時々飲みに行ったりはするけど、それ以上のことなんて何もありませんよ。」

ユキがそう答えても、カンナはまだ少し疑っていたようだった。

「アキくんはどう思ってるかわからないけど…私、本当にアキくんが好きなんです。こんなことユキさんに言うのは失礼だとわかってるんですけど…。」

「…はい。」

「お願いだから…私からアキくんを取らないで…。」

うつむいたカンナの目から、ポトリと雫がこぼれ落ちた。



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