Another moonlight
「あのさ、アキ…私、明日の仕事が終わったら自分の家に帰るよ。迎えにも来なくていいから。」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫。いつまでもここにいるわけにいかないし、やっぱ彼女に悪いしね。」

何が起こるかわからないし、引き留めたい気持ちはあるが、ユキの言うことはもっともだ。

それに、このままでは今のユキとの関係を壊してしまいそうで怖い。

友達ならそれなりの距離感を保つことも必要だとアキラは思う。

「そっか。でもなんかあったら遠慮なく言えよ。」

「うん。」

ユキは静かにうなずいた。

「あのさぁ、アキ…。」

「なんだ?」

「私は大丈夫だからさ、彼女をもっと大事にしてあげなよ。何も言わなくてもそばにいるってことはさ、それだけアキが好きってことなんじゃない?」

「ん?ああ…そうだな…。」

なんとなくいつもと違う様子のユキに違和感を覚えはしたものの、アキラはあえて何も聞かなかった。

カンナとのことをユキに心配されるのは、アキラにとっては複雑な気分だった。

アキラはカンナに、明日は5時半で仕事が終わるから、その後なら会えると返信した。

カンナからは、その頃に家の前で待ってると返信があった。


ユキはカンナがサロンに来たことをアキラには話さなかった。

カンナがアキラには内緒でサロンに来たのなら、黙っておいた方がいいと思ったからだ。

ユキはアキラとリュウトとトモキと一緒によく遊んでいた頃を思い出すと、大人になってバラバラになっていくことが寂しい気持ちになった。

(昔はこんなこと考える必要なんてなかったのに…。大人ってめんどくさいな…。)



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