Another moonlight
頼って欲しい
1週間後。
アキラは荷物を届けるため、配送車でユキのサロンに向かっていた。
ハンドルを握りながら何度もため息をつく。
カンナと会った日の朝以来、ユキとは会っていない。
結局あの夜、アキラはカンナに1度も好きだと言えなかった。
それをごまかすため、カンナに何度もキスをして、今までにないくらい優しく抱いた。
カンナを抱いている間も、ユキのことが頭を離れなかった。
それを気付かれないように、カンナを抱きしめて眠った。
どれだけ考えないようにしようとしてもユキのことばかり考えて、それをごまかすためにカンナに優しくしているずるい自分がイヤだった。
翌朝は仕事に行くためにカンナと二人でアキラの部屋を出て、次に会う約束をして別れた。
カンナを大事にしようと思うほど、何に対する後ろめたさなのか、ユキとは顔を合わせづらい。
何事もなかったような顔でいつも通りにしていようと思いながら、アキラはユキのサロンの前に配送車を停車して、荷物を手にまたため息をついた。
(あんま会いたくねぇけど…仕事だからしょうがねぇな…。)