Another moonlight
ミナの話によると、3日前ユキが自宅に戻ると、アキラと二人でいる時に撮られた写真が数枚ポストに入っていて、その写真の裏には【浮気は許さない】と書いてあったらしい。

犯人はユキとアキラが付き合っていると勘違いをしていて、ここ1週間ほど会っていなかったことを知っているようだ。

ユキが四六時中誰かに見張られていることは間違いない。

「ユキのやつ、なんで黙ってんだよ。なんかあったらすぐにオレに言えって言ったのに…。」

こんな時にユキに頼ってもらえないことが情けなくて、アキラは拳を握りしめた。

ミナはためらいがちに口を開く。

「アキには黙っててって言われたんだけど…ユキがね…アキには迷惑掛けたくないって。」

意外な言葉にアキラは顔をしかめた。

「なんで?」

「彼女、いるんでしょ?」

また予想外のことを言われ、アキラは少し戸惑った。

「ああ…そうだな。」

「アキがユキの心配して掛かりっきりになると、彼女が不安になるからダメだって。」

「なんだそれ?」

「彼女から聞いてない?1週間くらい前に、彼女、お客としてここに来たんだよ。ユキが担当したんだけど…その時、彼女と何か話したみたいで。」

アキラはカンナがネイルをしていたのを思い出し、ユキと会うためにここに来たのかと頭を抱えた。

「ユキ、なんか言ってた?」

「うーん…。どんな話をしたとか詳しくは言わなかったけど、アキと彼女の邪魔はしたくないって言ってた。」

「…そっか。」

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