Another moonlight
「こんにちはー。サトミ宅配便でーす。」
「あ、なんだ、アキか。」
「なんだはねぇだろ。それよりこの店、大丈夫なのか?客いねぇじゃん。」
アキラはカウンターに近付きながら、大袈裟に室内を見回して鼻で笑う。
「バカ!!今は休憩中だからだよ!今日も予約いっぱいだっつーの!!それより早く荷物寄越せ、宅配業者!」
「相変わらず口のわりぃ女だな。だからこの歳になっても嫁の貰い手がねぇんだよ!」
「テメーも独身だろうが!!」
「うっせぇ!早くサインをしろ、サインを!!婚姻届じゃなくて残念だな!!」
二人が顔を合わせるといつもこんな調子だ。
周りがどんどん結婚していく中、二人とも元ヤンにはしては珍しく、この歳になってもまだ一度も結婚と言うものを経験したことがない。
お互いにモテないわけでもなければ結婚願望がないわけでもないが、気が付けばいつの間にか独身のままでこの歳になっていた。
「私はアキと違って結婚できないわけじゃないからね。」
ユキがサインをした伝票を突き付けると、アキラはまた鼻で笑う。
「一生言ってろ。言うだけタダだからな。」
「言ったな…。態度が最悪なドライバーがいるって会社にクレーム入れてやる!」
「そんなことしやがったら、ここのサロンのスタッフは態度最悪だってネットに書き込んでやる!」
憎まれ口の応酬は、二人にとって挨拶みたいなものだ。
店の奥から出てきたサロンスタッフの女性がおかしそうに笑っている。
山内 美奈(ヤマウチ ミナ)34歳、バツイチで12歳の女の子を持つシングルマザー。
出身校こそ違うが、ミナもまた中学時代はヤンキーだった。
「あ、なんだ、アキか。」
「なんだはねぇだろ。それよりこの店、大丈夫なのか?客いねぇじゃん。」
アキラはカウンターに近付きながら、大袈裟に室内を見回して鼻で笑う。
「バカ!!今は休憩中だからだよ!今日も予約いっぱいだっつーの!!それより早く荷物寄越せ、宅配業者!」
「相変わらず口のわりぃ女だな。だからこの歳になっても嫁の貰い手がねぇんだよ!」
「テメーも独身だろうが!!」
「うっせぇ!早くサインをしろ、サインを!!婚姻届じゃなくて残念だな!!」
二人が顔を合わせるといつもこんな調子だ。
周りがどんどん結婚していく中、二人とも元ヤンにはしては珍しく、この歳になってもまだ一度も結婚と言うものを経験したことがない。
お互いにモテないわけでもなければ結婚願望がないわけでもないが、気が付けばいつの間にか独身のままでこの歳になっていた。
「私はアキと違って結婚できないわけじゃないからね。」
ユキがサインをした伝票を突き付けると、アキラはまた鼻で笑う。
「一生言ってろ。言うだけタダだからな。」
「言ったな…。態度が最悪なドライバーがいるって会社にクレーム入れてやる!」
「そんなことしやがったら、ここのサロンのスタッフは態度最悪だってネットに書き込んでやる!」
憎まれ口の応酬は、二人にとって挨拶みたいなものだ。
店の奥から出てきたサロンスタッフの女性がおかしそうに笑っている。
山内 美奈(ヤマウチ ミナ)34歳、バツイチで12歳の女の子を持つシングルマザー。
出身校こそ違うが、ミナもまた中学時代はヤンキーだった。