Another moonlight
「そっか…。リュウもホントの幸せ見つけたんだな。」

「まぁ…そうだな。」

リュウトは照れ臭そうに笑っている。

その顔はとても幸せそうだった。

「良かったじゃん。相手がハルってことには、正直まだ驚いてるけどな。」

「オレ自身もまだ信じられねぇ時があんだけどな。まぁ…オレは急いで大人になろうとして、まともな恋愛してこなかったからさ。ハルと一緒に、気長に行くわ。」

歳の差が18もあることや、戸籍上は身内だと言うことも含め、リュウトにもいろんな葛藤があったのだとアキラは思う。

それでも好きな人を幸せにしたいと互いに思い合えるリュウトが羨ましいと、アキラは素直に思った。

「なぁ、リュウ。これから飲みに行かないか?いいバーがあるんだ。」

「おっ、いいな。久々に行くか。」

「トモは帰ってないのか?」

「いや、今日は一緒だった。来るかどうかはわからねぇけど、一応声掛けてみるか。」

リュウトがポケットからスマホを取り出して、トモキに電話を掛けた。

「おー、トモ。これからアキとユキと一緒に飲みに行かないか?」


リュウトがトモキに電話をしている間、ユキはリュウトの左手の薬指に光る指輪を眺めていた。

(あれって…さっきハルがしてた指輪と同じ…。)

ユキはリュウトとアキラの会話を頭の中で何度も何度も反芻して、小さくため息をついた。

(そっか…。リュウはハルと…。)

スカートをギュッと握りしめ、うつむいて唇を噛んだ。

(今更何言ったって仕方ない…。私は告白もしないで、もうずっと前にリュウをあきらめたんだから…。)



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