Another moonlight
その後、トモキも合流してマナブのバーへ足を運んだ。

マナブはリュウトとトモキとの久々の再会に興奮していた。

「それにしても懐かしいよな。」

「そうだな。4人そろったのなんて、何年ぶりだ?」

「オレが二十歳でロンドンに行く前が最後だったから…13年ぶりか。」

かつてのバンドメンバーが久々にそろったことで、男たちは嬉しそうに会話を弾ませている。

ユキはアキラの隣の席でその様子を眺めながら、ひたすら酒を飲んだ。

近況を話していると、トモキが来年の春に結婚すると言い出した。

「トモ、結婚すんのか!相手は?」

「昔…ロンドンに行く前に付き合ってた子なんだけどな。オレがロンドンに行ってから、オレの知らないうちにオレの子を産んで育ててた。」

トモキの子供を産んでいたと聞いて、ユキはピンと来た。

「えっ…それってもしかして…アユ?」

「ああ…うん。そっか、ユキはアユちゃんのこと知ってるんだっけ。小学校が同じなんだろ?」

小学6年の時、同じクラスにアユミと言う名前の女の子が3人いた。

そのうちの一人の酒井 歩美は、ロンドンに行く前のトモキと付き合っていたらしい。


「大人になってからも何回か会ったけど…あの男の子、やっぱトモの子だったんだ。道理で似てるはずだわ。」

そう言ってから、ユキはふと子供の頃のことを思い出した。

学校帰りに仲の良い友達と数人でいつも寄り道をして、暗くなるまで公園で遊んでいた。

(リュウと、私と、アユと…あと誰だっけ…。確かあの時、リュウはアユのこと好きだったんだよね…。)

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