Another moonlight
「トモの奥さん、どんな人?」

カウンター越しにマナブが尋ねた。

「同じ歳で小学校の先生やってる。」

「へぇ、すげーな。」

小学校の先生をしていると聞いて、アキラは首をかしげた。

(んん?リュウとユキの小学校の同級生で、名前がアユミで、小学校の先生やってて、ロンドンに行く前のトモと付き合ってた…?その時トモは大学生で…トモと同じ歳ってことは彼女もその時は大学生で、小学校の先生目指してたわけか…?ってことは…。)

あの頃リュウトが片想いしていた相手と、トモキの彼女は同一人物なのだとアキラは気付いた。

「ああっ!!」

アキラが急に声を上げたので、みんなは驚いて一斉にアキラの方を見た。

「なんだよアキ!!急にでけぇ声出すなよ!!」

「すまん…。」

アキラは慌てた様子でビールを勢いよく煽った。

「アキ、どうかした?」

ユキが不思議そうに尋ねた。

「いや、なんちゅうか…なんだか今日はやけに衝撃の事実が多すぎて…。」

リュウトになんの断りもなく、勝手にユキに話すのはどうかと思ったアキラは、曖昧に言葉を濁した。

「衝撃の事実って…。」

「あー、いや…。なんでもねぇ。」

(あの頃リュウが片想いしてた相手がトモの彼女だったとか衝撃の事実だろ!!しかもお互いそれに気付かねぇまま終わったのか?!)

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