Another moonlight
「リュウならさ…芸能人なんだし、もっと大人でキレイな人なんか、周りにいっぱいいるでしょ?」

リュウトは顔も上げずに尋ねるユキの隣で、少し考えるそぶりを見せた。

「まぁ…いなくはねぇな。実際そういう女、何人かと付き合ったりもしたし…。」

「じゃあなんで、よりによって歳の離れた身内のハルなの?」

「なんでだろうな?そんなのオレもわかんねぇよ。」

「何それ…答えになってない。」

「まぁ…ハルはずっと、オレのこと好きだって散々言ってたし?この辺でその気持ちを受け止めてやってもいいかと思ったりな。」

リュウトは少し照れ臭そうにそう言って、タバコに火をつけた。

ユキは、ハルが生まれる前からリュウトのことが好きだったのに、1度も好きだと言わなかったことを悔やんだ。

(もし私が好きだってずっと言い続けてたら…リュウは私のこと好きになってくれた…?)

「ふーん…ずっと好きだって言い続けてたから…?それだけ?」

「それだけってことはねぇけど…もういいだろ?…ってか…どうした?オマエ今日はなんかヘンだぞ?」

リュウトは何も知らないし、ユキの気持ちには気付いていない。

告白もしなかったくせにリュウトを責めるのもおかしな話だと思ったユキは、苦笑いを浮かべながらマナブにグラスを差し出した。

「別に…相手がハルってのが意外だったからさ…。それに…結婚しようと思う人の気持ちが知りたかっただけ。」

「なんだ?そんな相手がいんのか?」

「いるよ…そろそろ結婚のこと考えていこうって言われた。」

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