Another moonlight
かなり込み入った話なので、尋ねてもいいものかとも思ったけれど、ユキはそれとなく話を聞き出してみることにした。

「アユとトモはさ、一度別れてるんだよね?それってやっぱ、トモがロンドンに行くことになったから?」

手を動かしながらユキが尋ねると、アユミは少し困った顔をした。

「別れた時はまだ、トモくんにそんな話はなかったよ。ロンドンに行ってたのを知ったのは、トモくんたちがデビューしてから。マサキがファンでね、テレビで見てビックリした。」

「そうなんだ。妊娠したって気付いた時、トモはまだロンドンに行く前だったよね?なんで知らせなかったの?」

ユキの言葉に、アユミは何かを考えるそぶりを見せた。

(あっ…今のはちょっとストレート過ぎたかな?)

「ごめん、変なこと聞いて。ちょっと気になっただけだから、答えたくなければいいんだ。」

ユキがそう言うと、アユミは小さく息をついた。

「ユキちゃん、ここだけの話にしといてくれる?」

「え?あ、うん…。」

アユミはいつになく神妙な面持ちで口を開いた。

「私たちが別れたのは…私がトモくんを裏切ったから。」

「…え?」

アユミの口から意外な言葉が飛び出した。

ユキは動揺を表に出さないよう、細心の注意を払う。

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