Another moonlight
「…だよな。オレ、あの頃が一番楽しかったわ。先のことなんかなんにも考えてなくてさ、仕事も適当にバイト転々としてたけど、それでも毎日満たされてた気がする。」
「それは言えてる。オレにはあれ以上のバンドはなかったからさ、次のバンドはなんかしっくり来なかったんだよな。」
「やっぱアイツらスゲーわ。ずっと一緒にやってたのに、どの辺でそんな差がついたんだろうなぁ。」
「さぁな。」
誰にも話したことはなかったけれど、あの頃アキラは、いつか4人でメジャーデビューできたらと漠然と夢を見ていた。
しかしヒロから声が掛かったのはリュウトとトモキだけだった。
リュウトとトモキの実力はアキラもよくわかっていたし、これが実力の差だと現実を突き付けられたような気がして、夢を追うのをやめた。
`ALISON´のデビュー曲を初めて聴いた時には、あまりの衝撃で言葉も出なかった。
一緒にバンドをやっていた頃とは比べ物にならないほど二人の技術は上達して、音に深みや迫力が増していた。
そしてジャケットに写る二人は、あの頃より自信と色気の漂う大人の男になっていた。
自分がどんなに手を伸ばしても届かなかったその場所に、二人はいる。
そう思うとただ悔しかった。
昔からの親しい友人の成功を祝いたい気持ちはあるのに、嫉妬して素直に喜べない自分が情けなかった。
「それは言えてる。オレにはあれ以上のバンドはなかったからさ、次のバンドはなんかしっくり来なかったんだよな。」
「やっぱアイツらスゲーわ。ずっと一緒にやってたのに、どの辺でそんな差がついたんだろうなぁ。」
「さぁな。」
誰にも話したことはなかったけれど、あの頃アキラは、いつか4人でメジャーデビューできたらと漠然と夢を見ていた。
しかしヒロから声が掛かったのはリュウトとトモキだけだった。
リュウトとトモキの実力はアキラもよくわかっていたし、これが実力の差だと現実を突き付けられたような気がして、夢を追うのをやめた。
`ALISON´のデビュー曲を初めて聴いた時には、あまりの衝撃で言葉も出なかった。
一緒にバンドをやっていた頃とは比べ物にならないほど二人の技術は上達して、音に深みや迫力が増していた。
そしてジャケットに写る二人は、あの頃より自信と色気の漂う大人の男になっていた。
自分がどんなに手を伸ばしても届かなかったその場所に、二人はいる。
そう思うとただ悔しかった。
昔からの親しい友人の成功を祝いたい気持ちはあるのに、嫉妬して素直に喜べない自分が情けなかった。