Another moonlight
後悔なんかしたくない
その頃。
アキラはトモキと一緒にマナブのバーで酒を酌み交わしていた。
マナブはカウンターの中で他の客に注文されたカクテルを作っている。
「それで…アキはユキにフラれたのか?」
遠慮なく笑って問い掛けるトモキに、アキラは舌打ちをした。
「ホントいい性格になったよな、トモ…。」
苦虫を噛み潰したような表情のアキラとは対照的に、トモキはおかしそうに笑っている。
「だってさ…アキがユキのこと好きなのは昔から知ってたし?」
「……気付いてたのか。」
「見てりゃわかるよ。それで?ユキになんか言われた?」
アキラはばつの悪そうな顔をしている。
どうやら言いづらいらしいと悟ったトモキは、また込み上げてくる笑いをこらえた。
「ユキさぁ…昔からリュウのこと好きだったよな。」
トモキが思わぬことを口走ったので、アキラは驚いて目を見開いた。
「……それも気付いてたのか?」
「見てりゃわかるよ。だけどリュウは気付いてねぇぞ。あいつ、そういうの鈍いから。」
「オレはずっと一緒にいたのに気付かなかったぞ。」
「そりゃあ…アキはユキが好きだから、近くにいすぎて見えなかったんじゃねぇか?って言うか、見ようとしなかったんだろ?で、何があった?」