Another moonlight
「結局さ…オレはどうすればいい?」

アキラはタバコの火を灰皿の上でもみ消して、グラスのビールを飲み干しおかわりを注文した。

「アキはどうしたいんだ?」

「…どうすればいいかわからねぇ。」

「どうすれば、じゃなくてさ、どうしたい?って聞いたんだよ。アキがホントはどうしたいのか、まずはそこからだろ?」

トモキの言葉を聞きながら、アキラはタバコに火をつけた。

(ホントはどうしたいのか……?)

自分の気持ちの整理がつかず、どんなに考えても、なんの答も見出だせない。

「どうしたいんだろ、オレ…。」

「頭で考えるより、心で感じたままに動くんだよ。いざとなると頭で考えるより先に体とか口が動くもんだ。」

「そんな経験があんのか?」

「そんなことばっかだよ。でもな、思い通りにうまくいかないにしても、考えることは大事だぞ。自分と向き合ういい機会だろ?」

いつも自分の周りにいる人たちより、トモキはやけに深いことを言うような気がするなとアキラは思う。

それは持って生まれた性格なのか、経験がそうさせるのか、やはり頭の良さが違うのか。

「頭いいやつの言うことは違うわ…。トモ、確か国立大に行ってたよな?」

「中退したけどな。」

「もったいねぇ。オレは中卒だからな。同じ中卒でもリュウやユキと違ってなんの資格も取らなかったし、手に職もねぇ。あんのは車とバイクの免許くらいだ。」

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