桜吹雪が舞う頃に
桜吹雪が舞う頃に
「さて、行くか!」
私はファミレスから出て彼の元へ向かう。この辺は危ない地帯。特に今の時間帯はね。
彼の元に無事到着。彼の手には血がついてる。きっと自分のものではないだろう。傷はどこにもない。
彼のそばで立ち止まる。ガードレールに腰掛けてる彼と私の目線はかなり近くなる。
「あーんなクズ達……殴る価値もない上に危ない奴らなのに」
彼を見て私はそう言う。
「なんだよ、お前? そこ、いない方がいいんじゃない? どっか行けよ」
はじめは私をその後は私の後ろを見たんだろう。来るの早っ! まあ、予想してたんだけどね。
「ねーちゃん、そこどいてくれる? 俺らそいつに用があってね」
「まあ、後で相手してあげるよ。いいもの見せたげるから、ついておいで」
見るからにクズ的なやつら。しかも一、二、三・・・十二、十二人ってどんだけビビリの集まりなんだか。自分達より弱そうな少年相手に。
「その手、離せば? 俺に用なんだろ?」
そいつらの中で一番近くにいた奴が私の腕を掴んでいた。
「お前の相手はちゃんとしてあげるよ」
「さあ、行こうか」
彼も私も連れていかれる。狭い線路の高架下に。ああ、バカはやっぱりバカ。
「さっきはよくも俺らの仲間をボコボコにしてくれたな?」
ガラの悪いお兄さんたちは怒りモード全開だ。さっきは人通りがあったからね。一応そこには気を配る頭は働くんだ。
「ん? どんな奴ら? ってか、その子に用ないんだろ?」
「お前の相手が終わったら、あるんだよ!」
「うお!」
私の腕を掴んでた奴の悲鳴です。あ、投げたんで。もちろん私がね。
「な? お前……」
「はい一人終わり。どっちが多いかな?」
ニヤリと笑った私と浮かない顔の彼に襲いかかってくる残り十一人の男。大人げない人達。まあ、大人じゃないか。まっとうな。
「ふー私は四人か負けたな。一人八人とはやるねえ。さっきの五人も凄かったけど」
試合終了。男達はのたうち回ってます。
「お前なんなんだよ」
「それよりこいつら、ヤバイ奴らに手を出すんだもん。さっきの五人の仲間だよ。あなたにやられて早速呼んでたから、な・か・ま」
「んで、お前が知ってるんだ」
これはのたうち回ってるうちの一人。まだ喋れるんだ。
「こいつら、酷いんだよー。女子高生襲って、動画に撮って、さらにそれで脅して直接客取らせたり。ね、お兄さん達? 私もそうする予定だったんでしょ?」
「なんで、知ってんだ? 誰かのダチか?」
「芸ないなー。まあ、いいか。自白?」
「なにがだ?」
「自分達のしてたことだよ」
「何が悪い! みんな喜んでヤッてる」
「それで、さっき女の子狙ってそこら辺にいた仲間がボコボコにされたって聞いて飛んできたんだよね。十二人も。まあ、お兄さん達もボコボコになってるんだけど」
ちょっと笑える。ああ、間抜け!
「お前あんま、すんなよ」
彼が奴らを挑発する私を止める。
「どっちが。こういう奴らに関わるのは危ないよ」
「……」
「まあ、いいや。行こう」
彼の手を取り元の場所を目指す。
「なあ、おい。聞いてんのか?」
「うん。聞こえてるよ」
もう大丈夫だろう。彼の手を離す。
「あいつら本当にそんな事してんのか。っていうか、お前何でそんな事知ってんだよ」
ふう。一息吐いてポケットから携帯を取り出す。そして、そちらに話をする。
「藤堂さん。今のでいいですか?」
スピーカーモードになっているためそのまま声が聞こえる。
「ああ、さっき警察に送ったから」
「たぶんあいつらあそこで伸びてるでしょうから」
「ああ、ありがとう助かったよ。そのまま家までついてるから」
「はい。ではまた」
私は携帯を切る。通話中なのに驚いたのか、通話中だったんで黙ってたのか彼がやっと話をした。
「今のトラップかよ」
「そうトラップ」
「自白と私を襲ったという事実、これと、一人の被害届、いくらなんでも警察だって動くでしょ?」
「被害届って……」
彼は私を少し憐れむ目で見る。違うって。
「私じゃないわよ。いくらあのアホな連中でも自分達が抱えてる子の顔ぐらい把握してるでしょ?」
「抱えてるって」
「無理矢理襲われた挙句に、少なーいお金でお客取らされてる子がさっきの電話の人の探偵社に助けてって依頼しに来たのよ」
「お前、探偵?」
上から下まで見てるし。
「違います。ちょっと話聞いて協力しただけの高校生よ!」
「ふーん」
元の位置まで戻りまたガードレールに腰掛ける彼。
全く懲りないんだから。
彼の目の前に人差し指を差し出す。
「あんたね。懲りなさいよ、今ので!」
「なんでだよ」
「わかってるでしょ? 場所がよかったし、私がいた。じゃなきゃどうなってたか!」
狭い場所なら大人数でかかってきてもたいした違いはない。相手するのは一番手前の二、三人なんだから。それに私の最初の一撃で動揺を誘った。
戦術的に楽な試合だった。だが状況が違えば彼もどうなっていたか。全く! これだから投げやりな奴は。
「うるせーな。お前に関係ないだろ」
「あります。あんな危険な奴らと絡んだんだから。家まで送って」
「はあ?」
「いいから、ほら行くよ!」
さっさと前行く私に彼がついて来てる。やっぱり悪いやつじゃない。
家に帰るのにぐるぐる誰かにつけられてないか、確認しながら帰ったので時間がかかった。
「おい! ここさっき通った!」
とか、いろいろ文句言ってたけど結局ウロウロしてる意味がわかったみたいだ。
「こんなことに首出すからこうなるんだぞ!」
まあ、また愚痴言われたんだけどね。
ようやく我が家へ到着。
「ありがとう助かったよ。うちここだから。じゃあ、また明日ね!」
「ああ、明日……はあ? なんで、明日なんだよ!」
彼の最後までの言葉は聞かずに家に入る。ふう。一日目は成功かな?
携帯には作戦成功のメールがきてる。どうやらあいつらを逮捕できたみたいだ。
手を見る。また震え出した。肩を抱きかかえる。震えは止まっていたのに。
あの泣いていた少女の為になったんだ。そして、彼の為にも。自分自身のためにも。
私はファミレスから出て彼の元へ向かう。この辺は危ない地帯。特に今の時間帯はね。
彼の元に無事到着。彼の手には血がついてる。きっと自分のものではないだろう。傷はどこにもない。
彼のそばで立ち止まる。ガードレールに腰掛けてる彼と私の目線はかなり近くなる。
「あーんなクズ達……殴る価値もない上に危ない奴らなのに」
彼を見て私はそう言う。
「なんだよ、お前? そこ、いない方がいいんじゃない? どっか行けよ」
はじめは私をその後は私の後ろを見たんだろう。来るの早っ! まあ、予想してたんだけどね。
「ねーちゃん、そこどいてくれる? 俺らそいつに用があってね」
「まあ、後で相手してあげるよ。いいもの見せたげるから、ついておいで」
見るからにクズ的なやつら。しかも一、二、三・・・十二、十二人ってどんだけビビリの集まりなんだか。自分達より弱そうな少年相手に。
「その手、離せば? 俺に用なんだろ?」
そいつらの中で一番近くにいた奴が私の腕を掴んでいた。
「お前の相手はちゃんとしてあげるよ」
「さあ、行こうか」
彼も私も連れていかれる。狭い線路の高架下に。ああ、バカはやっぱりバカ。
「さっきはよくも俺らの仲間をボコボコにしてくれたな?」
ガラの悪いお兄さんたちは怒りモード全開だ。さっきは人通りがあったからね。一応そこには気を配る頭は働くんだ。
「ん? どんな奴ら? ってか、その子に用ないんだろ?」
「お前の相手が終わったら、あるんだよ!」
「うお!」
私の腕を掴んでた奴の悲鳴です。あ、投げたんで。もちろん私がね。
「な? お前……」
「はい一人終わり。どっちが多いかな?」
ニヤリと笑った私と浮かない顔の彼に襲いかかってくる残り十一人の男。大人げない人達。まあ、大人じゃないか。まっとうな。
「ふー私は四人か負けたな。一人八人とはやるねえ。さっきの五人も凄かったけど」
試合終了。男達はのたうち回ってます。
「お前なんなんだよ」
「それよりこいつら、ヤバイ奴らに手を出すんだもん。さっきの五人の仲間だよ。あなたにやられて早速呼んでたから、な・か・ま」
「んで、お前が知ってるんだ」
これはのたうち回ってるうちの一人。まだ喋れるんだ。
「こいつら、酷いんだよー。女子高生襲って、動画に撮って、さらにそれで脅して直接客取らせたり。ね、お兄さん達? 私もそうする予定だったんでしょ?」
「なんで、知ってんだ? 誰かのダチか?」
「芸ないなー。まあ、いいか。自白?」
「なにがだ?」
「自分達のしてたことだよ」
「何が悪い! みんな喜んでヤッてる」
「それで、さっき女の子狙ってそこら辺にいた仲間がボコボコにされたって聞いて飛んできたんだよね。十二人も。まあ、お兄さん達もボコボコになってるんだけど」
ちょっと笑える。ああ、間抜け!
「お前あんま、すんなよ」
彼が奴らを挑発する私を止める。
「どっちが。こういう奴らに関わるのは危ないよ」
「……」
「まあ、いいや。行こう」
彼の手を取り元の場所を目指す。
「なあ、おい。聞いてんのか?」
「うん。聞こえてるよ」
もう大丈夫だろう。彼の手を離す。
「あいつら本当にそんな事してんのか。っていうか、お前何でそんな事知ってんだよ」
ふう。一息吐いてポケットから携帯を取り出す。そして、そちらに話をする。
「藤堂さん。今のでいいですか?」
スピーカーモードになっているためそのまま声が聞こえる。
「ああ、さっき警察に送ったから」
「たぶんあいつらあそこで伸びてるでしょうから」
「ああ、ありがとう助かったよ。そのまま家までついてるから」
「はい。ではまた」
私は携帯を切る。通話中なのに驚いたのか、通話中だったんで黙ってたのか彼がやっと話をした。
「今のトラップかよ」
「そうトラップ」
「自白と私を襲ったという事実、これと、一人の被害届、いくらなんでも警察だって動くでしょ?」
「被害届って……」
彼は私を少し憐れむ目で見る。違うって。
「私じゃないわよ。いくらあのアホな連中でも自分達が抱えてる子の顔ぐらい把握してるでしょ?」
「抱えてるって」
「無理矢理襲われた挙句に、少なーいお金でお客取らされてる子がさっきの電話の人の探偵社に助けてって依頼しに来たのよ」
「お前、探偵?」
上から下まで見てるし。
「違います。ちょっと話聞いて協力しただけの高校生よ!」
「ふーん」
元の位置まで戻りまたガードレールに腰掛ける彼。
全く懲りないんだから。
彼の目の前に人差し指を差し出す。
「あんたね。懲りなさいよ、今ので!」
「なんでだよ」
「わかってるでしょ? 場所がよかったし、私がいた。じゃなきゃどうなってたか!」
狭い場所なら大人数でかかってきてもたいした違いはない。相手するのは一番手前の二、三人なんだから。それに私の最初の一撃で動揺を誘った。
戦術的に楽な試合だった。だが状況が違えば彼もどうなっていたか。全く! これだから投げやりな奴は。
「うるせーな。お前に関係ないだろ」
「あります。あんな危険な奴らと絡んだんだから。家まで送って」
「はあ?」
「いいから、ほら行くよ!」
さっさと前行く私に彼がついて来てる。やっぱり悪いやつじゃない。
家に帰るのにぐるぐる誰かにつけられてないか、確認しながら帰ったので時間がかかった。
「おい! ここさっき通った!」
とか、いろいろ文句言ってたけど結局ウロウロしてる意味がわかったみたいだ。
「こんなことに首出すからこうなるんだぞ!」
まあ、また愚痴言われたんだけどね。
ようやく我が家へ到着。
「ありがとう助かったよ。うちここだから。じゃあ、また明日ね!」
「ああ、明日……はあ? なんで、明日なんだよ!」
彼の最後までの言葉は聞かずに家に入る。ふう。一日目は成功かな?
携帯には作戦成功のメールがきてる。どうやらあいつらを逮捕できたみたいだ。
手を見る。また震え出した。肩を抱きかかえる。震えは止まっていたのに。
あの泣いていた少女の為になったんだ。そして、彼の為にも。自分自身のためにも。
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