【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「何でそっちに座んだよ!?母さんはこっちだろ。
つか、昨日って何!?俺の知らねぇ間に紫音に会ってんじゃねぇ!!そもそも何で個人的な連絡先を母さんが知ってんだよ!?」

俺が捲し立てるようにそう言えば、

「だって、お友達になったんだもん。当然交換済みよ。
ねーー紫音ちゃん♪」

スマホをフリフリしながら、いけしゃあしゃあと母さんが答えたことに俺は驚いた。

「は!?」
「や~ね~。男の嫉妬は醜いわよ」

呆然とした俺へ憐れむ視線を向けながら、続けて、

「どーせさっきの“イヤ”ってのも、煌暉のわがままでしょ?」
「………………」
「あら、当たり?」
「……うっせーー」

母さんに言い当てられて、俺はふて腐れ気味に椅子へ座り直した。
片ひじをつき、口元を隠しながらチラッと紫音を見れば、俺と母さんのやり取りに呆気にとられた様子がわかって……


"かっこ悪……子供かよ…"


「大丈夫よ。紫音ちゃんには素性がわからないように変装してもらうし、モデル名も《Lana(ラナ)》」
「『ラナ?」』

母さんが口にしたその名前に、二人同時に聞き返した。

「紫音=紫苑=ギリシャ語でaster(アスター)=星=ランタナ。
ランタナの最初と最後の文字で《Lana》。
元々の紫苑の意味は“君を忘れない”。どぉ?素敵でしょ。
ランタナは和名で七変化。だから変装。
ピアノ奏者の時と少し被っちゃうけど、なるべく顔を隠しての撮影条件だし、大丈夫でしょ」

手帳に書き留めていたことを、俺たちへ見せながらそう言った母さんは、なぜか“どや顔”で……


"ピアノ奏者の時って………まだ俺も見てねぇのに"


俺は俺で話の内容とは別に、落ち着かそうとしていたイライラが、また俺にこみ上げてきた。
< 12 / 139 >

この作品をシェア

pagetop