【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
煌暉くんはそう言うと、自分の襟元のネクタイを引き抜いた。

そして私の襟元にあったリボンタイも引き抜いて、それを自分の首へかけると、手に持っていたネクタイを私の襟に通して、そのままそれを"リボン結び"にした。



「ちょっと長いけど…リボンだし。交換な」



鮮やかなまでの無駄のない動きに私はされるがままで、一瞬、何が起こったのかわからなかったぐらい。

そしてその私のリボンタイといえば、既に煌暉くんの鞄の取っ手の部分で"ネクタイ結び"にされていた。



「よし。なかなかいいんじゃね?これ」



満足そうに笑った煌暉くんに、とても幸せな気持ちが胸の中をいっぱいにした。





チクンッ





気づくか気づかないかの…小さな小さな痛みは一瞬で……



「帰ろ」

『はい』



煌暉くんの手のぬくもりに、それはかき消された。





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