【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
だけど今度は“そっと”なんかじゃなく、噛みつくような俺のキスに一瞬ビクッと身体を震わせた紫音。

それでもすぐに応えてくれて深まった重なり。

だからその奥をもっと感じたくなった俺はその角度を変えた。

『ん……』ハァ

そのことでうすく開かれた唇から紫音の吐息が漏れ聞こえて感情が昂ってくる。
俺はすかさず再び深めて、そこから自分の舌先を滑り込ませた。こじ開けるようにして同じものを感じるためにそれを追い求める。
だけど恥ずかしさからか逃げようとしたそれに、


「紫音……それちょうだい」


とわずかに唇を離して甘く囁いた。

その言葉に紫音のそれがおずおずと俺のそれへ近づく。


合間に見えた紫音の顔。
色香が漂い、甘い香りまでもがしてくる。


俺だけが見ることが出来るその表情に、俺の中の雄の本能が刺激されて欲望が増した。


"このまま俺のモノにしたい"


……だけどギリギリのところで“理性”が働きそれに打ち勝った。


"まだダメだ"


この先も俺の傍にいてくれることを信じて、俺の中で決め、誓い続けていること。


紫音が“16”になるまではこの先へは進まない。


その誓いの意味することはただ一つで、その日を迎えることが出来るなら自分を戒めることなんか乗り越えてみせる。

だけどこれ以上は求めるのがキケンな気がした俺は、名残惜しさはあるけど紫音を解放した。


『ハァ………』

とろんとした目が俺を見上げてきて、


『煌暉くん…大好き』


その顔を俺の胸に埋(うず)め、抱きついてきた。


「俺も大好きだよ」


やっとの思いで押しとどめたのに……
これ以上煽らないで欲しい。なんて言わない。



"もっと俺に堕ちてこい"



計り知れない……そう思える場所で両手を広げて待っているから。

俺はそう願い、紫音の身体をギュッと抱きしめた。


"愛してるよ"




心中有言実行。

現実実行?まで残り13ヶ月。


"…………長いな…"






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