【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
私の向かいに座っていた煌暉くんの腕が伸び、そのまま私の頬へ指先を滑らせてくる。顎に触れてかかった数本の指先はそこで止まり、そこに触れていなかった親指が、そのはらで私の唇を軽く押すのがわかった。

「やっぱこれはくれる?」

煌暉くんのその動きと目を細めてうすく微笑んだ表情が色っぽくて、その言われたことの意味もわかった私の顔が瞬時に熱を帯びた。

「ハハッ 顔熱い」

私の顎には他の指がまだ添えられたままだったから、そんな私の変化はすぐに気づかれてしまい、

『別のものでお願いします』

なんて言葉が出る。

「ダーーメ。これがいい」

だけど、声に甘さまで含ませて煌暉くんはそう囁いた。

『……………』
「よし。決まり」

私が黙ったままなのを了承と受け取ったのか、煌暉くんはその顔を崩してニッと笑った。
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