【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「今、つけて?」

その言葉に私は手元のケースへ視線を戻した。

『つけるのもったいないです』
「ハハッ 何それ。つけてくんねぇと意味ねぇし」
『そうですか?』
「そうだよ。貸して?俺がつけてあげる」

煌暉くんがそう言うから、私はケースごと煌暉くんへ渡した。

それを受け取った煌暉くんは、優しい手つきでネックレスを取り出すと、スッと立ち上がって、私の後ろへと移動してきた。

「髪。持ち上げるか、どっちかに避(よ)けて?」
『はい』

私が促されるままに髪を避けようとしたら、

「やっぱ、そのまんまでいい」

煌暉くんが、つい今言っていたことと違うことを言い出した。

『え?』
「違うもんつけそうだし」
『違うもの?』
「これとは違う“赤いもの”」


"赤いもの………"


「"赤い跡"って言えばわかるか?………声出しとかねぇと、マジでつけそう」

煌暉くんは喋り続けながら、私の髪を両手で掬い上げた。

髪の上にあった細いチェーンがその内側に入り、私の首へと触れる。その温度のないチェーンの冷んやりとした感触が私に伝わってきた。
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