【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
**
「KOH(コー)だよね?」
ふいにそう呼ばれてハッとした。
その名前は俺がモデルの時に使っている偽名。
「…………」
まさかこの場所で声を掛けられるとは思っていなかったから、つい無言の返答になった。
「あの……応援してます。握手してもらってもいいですか」
そう言い、胸の前で握りしめられている手を見て“ハァ……”と心の中でついた溜息。
それでも営業スマイルで応える俺は何なんだろう…………
「ありがとう」
貼りつけた笑顔でスッと差し出した手に、おずおずと触れてきた手と、まっ赤に染まった頬。
何度も体験してきたそのやり取りに、やっぱり俺の心は何も感じなくて………
だけど、そのことに初めて“申し訳ない”という気持ちは芽生えていた。
"素直に受け止めることが必要なのは俺も同じだったか……"
そんなことを思ったら、紫音の笑顔が瞬時に頭の中に浮かんでくる。
それだけで俺の表情が変わったことを察して、目の前の女がさらに顔を赤くした。
"違ぇし……"
「KOH(コー)だよね?」
ふいにそう呼ばれてハッとした。
その名前は俺がモデルの時に使っている偽名。
「…………」
まさかこの場所で声を掛けられるとは思っていなかったから、つい無言の返答になった。
「あの……応援してます。握手してもらってもいいですか」
そう言い、胸の前で握りしめられている手を見て“ハァ……”と心の中でついた溜息。
それでも営業スマイルで応える俺は何なんだろう…………
「ありがとう」
貼りつけた笑顔でスッと差し出した手に、おずおずと触れてきた手と、まっ赤に染まった頬。
何度も体験してきたそのやり取りに、やっぱり俺の心は何も感じなくて………
だけど、そのことに初めて“申し訳ない”という気持ちは芽生えていた。
"素直に受け止めることが必要なのは俺も同じだったか……"
そんなことを思ったら、紫音の笑顔が瞬時に頭の中に浮かんでくる。
それだけで俺の表情が変わったことを察して、目の前の女がさらに顔を赤くした。
"違ぇし……"