【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
私は何も聞いていないのに、それでも私に説明するようにずっと喋り続けていた女(ヒト)が、そこで話を中断させた。
その理由が、

「ちょっと聞いてる?」

未だに黙り続けている私にイライラしたのか、口調まで変えて問いかけてくる。

だけど、口を挟む隙さえ与えかったのは明らかで……


"去年の夏って……半年の間ずっと待っていたのかな"


単純に湧いた疑問だったけど、私はそれを声には出さなかった。

『聞いてます』
「じゃあ何とか言いなさいよ。純情ぶったって、あの煌暉が相手にしてるのよ。清楚系でも美人なあなたなら、煌暉以外にもいろいろ経験あるんでしょ!?」

私の返答に、たたみかけるように言われた内容が、普段私があまり感じることのない部分に触れてきた。


“あの煌暉”


その言葉が私の怒りに触れてきた。

どういうつもりで使い、言ったのかはわからない。
だけど、それが煌暉くんを侮辱したように私には聞こえた。

『今の言葉、訂正してもらえますか?
「は?」
『あなたの意図はわかりませんが、私にとってとても嫌な音だったので……“あの煌暉”という言葉を訂正して下さい』
「………意味わかんないんだけど」
『無意識で言ったんですか?』
「それが何?」
『だったらなおさら訂正してもらいたいです』
「何……バカにしてんの?」
『そう聞こえたなら謝ります。だから…』
「それがバカにしてんのよ!!」

そう怒声が吐き出され、その女(ヒト)の右手が振り上げられたのが私の視界に入った。

だけど、

「お前何してんの?」

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