【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「俺の彼女を疑うわけじゃねぇけど……寛大だからな。
一応お前に最終確認。何もしてねぇだろうな」
「まだ…してない。
それよりも、さっきから“俺の彼女”って……
いつの間にそんな特定の呼び方するようになったの?ひどくない?
私のこともそう紹介してよ」
俺が視線を戻して問い質(ただ)したことよりも、もう一方のことに食いつき、要求してきた女。
どこまでも自分勝手な考えがそれに見えて、いつかの記憶を俺に甦らせた。
**──
“彼女にしてよ”
“ムリ。特定はいらねぇ”
“じゃあキスならいいでしょ?”
“それもムリ。それが欲しいんだったら、俺がそれをしたくなるようにしねぇとな”
“何よ。相変わらず意地悪ね”
“おかげさまで”
“跡つけてくれるだけでもいいけど”
“それもムリだな。俺の中では今言ってたプロセスの延長ですることだし”
“変なの。それ以上のこと今もしてるのに”
“……………もう黙れって”
──**
その時の会話を境に、この女があの時の俺への奉仕に、よりいっそう身を入れていたことを思い出した。
ついやり取りが面倒くさくて、適当に流したことがこの女に勘違いを起こさせたのかもしれない。
今さらながらにして、そのことで俺を欲情で溺れさせ、キスとその先をさせるためだったんだとわかった。
確かにこの女との行為は俺を満たしていたような気がする。でもそれは、ただ単に男の性(サガ)でのこと。
それをするに至るには全く関係のない、表情に欲情さえ出ない身体の欲求だけだった。