【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS

『煌暉……くん？』
「……………」

俺が葛藤にいるなか紫音が俺を呼ぶけど、今度は切なさで声が出せなかった。

それなのに、

『煌暉くん？』

俺をもう一度呼び、俺の頬に添えてきた指先が、その葛藤につけたくなかった決着をつけさせた。

紫音の手の甲を掴み、その内側に口づける。

想いが思いを溢れさせて、
俺は“押しつけ”の方を選んだ。


「あのさ………」
『はい』
「俺が今から言うことに、“ひかない”って約束してくれる？」
『え？』
「約束の意味は聞いてくれたらわかるから……
言う前にずるいこと言ってるけど……それぐらいマジなんだ」
『……………わかりました。約束します』


俺は紫音に卑怯な約束を願い出たのに、それでも快く了承の言葉をくれたから、俺は俺の中にある“思い”を伝えるために、目一杯の酸素を肺の中に取り込んで、それを深く吐いた。

一度目を閉じ、すぐに開けた目。

紫音のグレーがかった綺麗な瞳を見つめ、そこに映る自分と向き合った俺は、思いの丈を言葉にした。