【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「…………今言ってた利用と逆算の意味だけど……
紫音に執着してる俺を見せつけたかった。
そうすることで、あの女が去ることの期待も含めて。けどそれはすぐに暴走に変わった。
その執着と暴走の意味は………

俺はどんな時も、どんな場所でも、たとえ誰かに見られてても、それが一瞬でわからなくなるほど、俺には紫音しか見えない。

さっきの紫音に対しての俺の行動はそういうこと。

……他にもいろいろあるけど…………結局は行き着くとこは同じだから。

で、その俺の最終的な思考だけど…………」

俺は次の言葉を出す前に、息を短く一つ吐いた。

ハァ…「…………紫音を閉じ込めたい。
紫音を誰の目にも映らないようにしたい。
紫音には誰も見てほしくない。
ずっと俺の傍で俺だけを見させて、俺の腕の中に閉じ込めて解放(はな)したくない。

………でも、んなこと出来ねぇし、無理だってわかってるけど、………そう思ってしまうほど好きなんだ」


俺の重すぎる告白を真剣な……というか、どちらかと言えば放心に近い表情(カオ)をして俺を見上げて聞いている紫音。
信じてはいるけど、それでも紫音からの言葉を聞くのが怖くて、俺はそこで話を切り上げた。

「ここは寒いし、戻ってどっか入ろ」

この場から逃げる口実を作って、掴んでいた手をそっと離した。

紫音を促すように肩に添えた手は、思いの外力が入っていたかもしれない。

だけど紫音は黙ったままながらも俺のその行動に従ってくれた。


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