【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
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「ここでいい?」
二人でよく利用しているカフェの前に立ち、俺の横に立っていた紫音へそう言葉をかけたけど、
上の空だったのか、ハッとした表情が俺に向けられた。
ここに辿り着いた今も紫音が黙ったままでいることが、さっきの俺の重すぎる告白のことを考えさせているのかもしれないと思わせて、俺を罪悪感でいっぱいにしてくる。
だけど、静かに首を振った紫音が、
『ここじゃ嫌です。二人きりになりたいです』
と思ってもみなかったことをつぶやいた。
瞬時に俺の頭が"別れ話か!?"とさっきの今で、いくらなんでも早いんじゃ……と行きすぎる考えが浮かんで不安になる。
だけど、紫音が続けて言ったことに俺の思考が混乱し始めた。
『煌暉くんのお家にはどなたかいらっしゃいますか?』
「え?」
『いらっしゃるなら私のマンションに。
いらっしゃらなくても、いつ頃お帰りに?』
「…………いや…誰もいねぇし、今日は誰も帰って来ねぇけど……」
俺は家族の予定を思い出しながらそう返事した。
父さんは頻繁に海外出張があるし、今回は母さんもそれに同行している。兄二人は大学生だけど、社会勉強と言えば聞こえのいいその一貫として、すでに家を追い出されていたから滅多には家には戻らない。
だから今日は、というか、俺一人が家にいることが日常で……家人が在宅していることの方が珍しかった。
「ここでいい?」
二人でよく利用しているカフェの前に立ち、俺の横に立っていた紫音へそう言葉をかけたけど、
上の空だったのか、ハッとした表情が俺に向けられた。
ここに辿り着いた今も紫音が黙ったままでいることが、さっきの俺の重すぎる告白のことを考えさせているのかもしれないと思わせて、俺を罪悪感でいっぱいにしてくる。
だけど、静かに首を振った紫音が、
『ここじゃ嫌です。二人きりになりたいです』
と思ってもみなかったことをつぶやいた。
瞬時に俺の頭が"別れ話か!?"とさっきの今で、いくらなんでも早いんじゃ……と行きすぎる考えが浮かんで不安になる。
だけど、紫音が続けて言ったことに俺の思考が混乱し始めた。
『煌暉くんのお家にはどなたかいらっしゃいますか?』
「え?」
『いらっしゃるなら私のマンションに。
いらっしゃらなくても、いつ頃お帰りに?』
「…………いや…誰もいねぇし、今日は誰も帰って来ねぇけど……」
俺は家族の予定を思い出しながらそう返事した。
父さんは頻繁に海外出張があるし、今回は母さんもそれに同行している。兄二人は大学生だけど、社会勉強と言えば聞こえのいいその一貫として、すでに家を追い出されていたから滅多には家には戻らない。
だから今日は、というか、俺一人が家にいることが日常で……家人が在宅していることの方が珍しかった。