【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「紫音……来て。
俺が紫音にいつもしてること……紫音からして。
俺を抱きしめて、キスして」

俺はそう言って、身体ごと紫音へ向き直った。

その俺の要求に紫音は一瞬驚いた表情を見せたけど、すぐにそれはいつもの微笑みに塗り替えられて、ゆっくりとした動作で紫音もまた、俺に向き直った。

その場で膝立ちをし、両腕で俺を頭から包み込むように抱きしめてくれる。

そのことが俺を少しだけ後悔させた。


"胸……………ヤベぇ……
しかもやっぱデカいし……"


その感触が服越しでも伝わってきて、頭の中がその感想でいっぱいになる。

普段はその大きさをある程度視覚とハグから得てはいたものの、実際ここまで体感するのは初めてで、抱きしめた時よりも直接自分の肌に感じてきたことが、まだまだ俺の精神と肉体を分けることなんて出来なくて、
俺は自分の大事な部分に“スイッチ”が入るのを感じた。

その瞬間、自然と伸びた腕は紫音の腰に絡まり、その埋もれていた場所から俺は紫音を見上げた。
そしてそれに気づいた紫音がそこに隙間を作って、そのまま俺を見下ろしてくる。

近づいてきた顔がまずその唇を俺の額に触れさせて、次に瞼、こめかみ、頬へといくつものキスを降らせた。

そこで一度視線が絡み、また反対側も同じようにして、頬まで降りてきた唇がいよいよ俺の唇と重なった。
だけどすぐに離れたことが、かえって紫音の吐息を意識することになって……

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