【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
「遅~~い!」




「紫音ちゃん、いらっしゃい♪」

『こんにちは。おじゃまいたします』



玄関先で待ち構えていたのか、歓迎の挨拶をするや否や紫音に抱きついた母さん。



「また勝手に抱きついてんじゃねぇ」

「何よ。煌暉の許可なんて必要ないし。
ね~♪紫音ちゃん♪」

「いるだろ!それ最優先だし!
いいから離れろ!ったく油断も隙もねぇ」

「ケチっ」

「ケチじゃねぇ。俺んだから」



俺はそう言いながら、当然母さんから紫音を引き剥がすと、そのまま自分の胸の中に抱き込んだ。



「うわっ。人前で恥ずかし気もなく……」

「人のこと言えんのかよ?」

「ジーーーー」

「ジーー……って…ガン見しながら言うことか?」

「どケチっ!」

(どケチって……何なの……息子にやきもちとか……)





「母さん。鍋いいのか?」



そこへひょっこり現れた二人の兄貴。


その内の一人、長男の天河(てんが)が母さんへそう告げると、



「いけないっ。忘れてた」



母さんは、慌ててこの場からキッチンとつながるリビングの方へと小走りで向かった。


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