自分にありがとうが言えるように

黒い泉

1.
黒い泉はとても不気味だ。
まるで泉の水を墨汁に変えてるかのように真っ黒だ。
ここには何があるのだろう
有名な話のようになにかを落とせば女神様が出てくるのだろうか。
そんな疑問ばかりが浮かんでしまう。
僕は不意に泉を覗きこんだ。
もちろん泉にはなにも映らない。
せめて顔でも見れたら自分が誰なのかわかるかもしれないのに…
ふと後ろに気配を感じ振り返るとそこには一人の女性がたっていた。
2.
相変わらず顔は見えない。
女性は青年と違いただ黙っている。
耐えきれずに僕が女性に質問してみることにした。
「あの…ここはどこなんですか？」
質問して少しの沈黙の後女性が口を開いた。
「瞬…」
その時僕は凄まじい頭痛に襲われた。
本当にすごい痛みだ。
頭を内側から杭を打ち込まれるような鈍くて響く痛み。
「痛い…いたい…イタイ…痛い！！！！」
あまりの痛さに気を失いそうになる。
女性の方を見てみると女性は笑っていた。
「ははははははは！ハハハハハ！」
女性はそのまま笑いながら消えていった。
女性が消えると頭痛も治まり少し落ち着くことができた。
そして１つ思い出せたことがある。
僕はあの女性を殺している。