ice-cold
それから一ヶ月がたって、わたしは病院から離れた。

彼のことは忘れて、普通に学校に行って、普通に暮らすつもり…だった。
学校の帰り道…彼の姿があった。
わたしは当然気付いてないフリをした。

彼の前を通り過ぎようとしたとき…彼がわたしの手を強く引いた。

「美沙…美沙だろう?」

「やっ!!ひ、…ひと違いだと思います…」

わたしは彼にウソをついた。
でもなんで完全にわたしってことが分からないの?
髪型だって化粧だってしてないのに…

「美沙…美沙だろ?」

まさか…左目が…見えないの?春也…?
彼が思いっきりわたしを抱きしめた。

「やっぱり…美沙だ…。」

「春也…目が…見えないの?」

「…微かに…右目だけでは見える…でも…左目は…もう…」

左目が…もう…見えない…の…

「…美沙…事故にあったんだろ?…大丈夫だったのか?」

「…記憶は…すこし消えたけど…大丈夫だった…っ」















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