ice-cold
「ごめん…ごめんね…」

涙を流しながら謝った。

「なんで謝るんだよ…」

「わたし…この子おろすからっ…だから…だから…」

わたしは生むのが怖いんじゃない、ただただ…
嫌われるのが怖いだけ!!

「嫌わないでっ…」

沈黙がつづく…春也はもう…
この戸の奥にはもういないの?

そして数分後、彼は口を開いた。

「っなんだよ…それ…」

「え…」

「誰がおろせなんか言った?
 誰が美沙を嫌うなんて言った?俺のこと好きなんだろ?
 
 じゃあ…

 俺の子を生めよ…」

その声はすこしハナ声で、

歯を食いしばって言っているように聞こえた。

「春也…?泣いて…る…の…?」

「…っ」




< 53 / 161 >

この作品をシェア

pagetop