ice-cold
それからバイト先が決まりわたしは彼をすこしずつ忘れることが出来た。
もう彼のことは考えない、そう決意した。

「いらっしゃいませ」

わたしは、ケーキ屋でバイトをしていた。
嫌なことに、ケーキがずらりと並んでる横には、冷たいアイスがちょこんっと置いていた。
わたしはそれがすごく嫌でこのバイトをやめようかと思った。
けど、やっと決まったバイト先だったから嫌な感情を心に閉じこめて頑張った。

夏が過ぎて、秋になる頃アイスはすっかり丸いくりぬいた形も消え、
アイスの売場には暖かい紅茶を置こうとしていた。

でもその計画が一瞬にして崩れた。

「いらっしゃいま…せ…」

ぜったいないと思った。でも…何度も見直して現実だってことがわかった。

目の前には、愛すべき…彼の姿があった。

「…店員さん、俺アイス欲しいんだけど。まだある…?」

「…あります」

彼はニコっと笑ってこう答えた。

「じゃあ、とびっきり甘いやつちょうだい?」

っとわたしを抱き寄せた。



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