夫婦・・として
☆☆一度に失う
高校三年生になったばかりの時
母さんは、買い物に行ったまま
帰らぬ人となった。
居眠り運転の車に
巻き······込まれて········
親父と俺が、病院に駆けつけた時には、
母さんは、もう息を引き取っていた。
俺は、呆然と佇み
親父は、母さんにしがみついて
泣き叫んでいた。
警察官が、事故の報告にくると
親父は、亜紀を返せと殴りかかり
俺は、必死に止めた。
母さんの両親と
親父の両親も来て
みんなで、必死に止めて
母さんの父・じいちゃんが
警官から話を聞く事になった。
親父は、通夜の間も泣き続け
喪主として、全く機能出来ずに
俺やじいちゃん達が
変わりにやる始末だった。
親父は、寝ない・食事も取れない
日々が続いて
終いには倒れてしまい
救急車で運ばれ入院をした。
親父の母・ばあちゃんが
親父についてくれた。
だが親父は、誰とも口を聞かず
医師も親父の両親も
どうしていいのか、
わからない状態だった。
もちろん
俺とも、話すわけがない。
俺は、一度に母親と父親を失った
感覚だった。
鈴華は、そんな俺を心配して
瞳子さんに話してくれて
瞳子さんが
俺をしばらくの間預かってくれる
事になった。
じいちゃん、ばあちゃんも
心配してくれていたから、
瞳子さんに深くお礼を言って
俺の事を頼んでくれた。
俺は、鈴華の愛情と
瞳子さんの優しさに包まれて
元気を取り戻して行く事ができた。
そんな日々が、二ヶ月を過ぎた頃
親父は、勝手に退院して
家に帰ったらしい。
じいちゃんもばあちゃんも
呆れてしまい、
もう面倒見切れないと
俺は、情けない気持ちでいっぱいだった。
たった一人の息子なのに
俺だって、母さんを亡くして
どうして、いいのか
わからないのに。
自分だけ辛い思いをしていると
思っている親父に対して
憤りと情けない気持ちしかなかった。