夫婦・・として
☆☆あなたとは違う
そんなとき
バタバタバタと、廊下を走る足音がして
バターン!と、扉が・・・・
「‥‥‥‥おや‥‥じ‥‥?····」
「何を、やっているんだ、お前は!!」
と、言って、結斗の胸を掴んだ。
瞳子は、
「やめて下さい!!
結斗君は、怪我をしてるんですよ。」
と、言いながら、
暁斗の手を結斗から離した。
暁斗は、
「あんた、なんだ?
自分の息子に、父親が何しようが
勝手だろう。
他人は、口を出すな。」
と、言った。
「私は、医者です。
結斗君は、私の患者です。
それに、娘の大切な友人です。
いくら、父親でも
ここ病院では、勝手は許しません。」
と、言うと
「何を!」
「それに、なにが、父親ですか?
怪我をした息子の心配もしなくて。
どうして、結斗君が怪我をしたのかも
聞かずに。
あなたの中には、子供の結斗君は
いないのですか?
奥さまを亡くしてから
自分が、何をしてきたか?
どれだけ、回りを傷つけたのか
考えもしないんでしょ!」
「おまえにっ、お前に!
なにが、分かる!!
亜紀は、おれの全てだったんだ。」
「わかりませんね。
わかりたくもない。
自分の子供を放棄しておいて
奥さまが、全てだった?
奥さまが、聞いたら哀しむ
でしょうね。
奥さまにとって、結斗君は、
かけがえのない、大事な息子
なんですから。」
「ママ!」「瞳子さん!」
と、二人に叫ばれて
「あっ、鈴華、結斗君、ごめんなさい。
つい、頭にきて。
じゃ、私は仕事に戻るから。
結斗君、何かあったら、コールしてね。
鈴華、帰るときに一緒に帰るからね。」
と、言うと瞳子さんは病室を出て行った。
すると
「なんなんだ。あの女は?
あんなのが、医者なんて
ろくな病院じゃないんじゃないか?
病院は、変えるから。
わかったな、結斗。
亜紀とは大違いだ。」
と、暁斗が言うと
「あんなのじゃありません。
母は、立派な小児科の医師です。
いつも、患者さんに寄り添った
治療をする人です。
あなたみたいに、心狭き大人では
ありません。」
と、鈴華。
「とうさん、俺は瞳子さんの病院が
いいんだ。
いやなら、来る必要ないから。
母さんを亡くして、
父さんが俺を放置した時も、
鈴華と瞳子さんがいてくれたから、
俺は乗り切れたんだ。
それに、鈴華もお父さんを亡くしてる。
瞳子さんは、忠臣さんを亡くしても
鈴華のため、患者さんのためにも
悲しみを乗り越えて頑張っている
立派な人なんだ。
父さんみたいに、母さん以外全てを
放棄した人とは、ちがうんだ!!」
と、言った。
暁斗は、顔を真っ赤にして
「話にならない!」
と、言って病室を出て行った。