虚空を眺めて
文化祭の出し物も決まり。
演劇の詳細は今後話すことになった。

「じゃぁ、今日はここまでだ。生徒諸君! 気をつけて帰るように!」

そう言って、担任井上は豪快に教室を後にして行く。
それと同時に、全員机から立ち上がり、荷物を背負い、それぞれ教室を後にして行く。

「さて、五郎帰ろうぜ」

月彦は片手にバックを背負いながら、五郎に視線を送る。
―――視線の先には、いまだに机に突っ伏している五郎が。

「悪い、俺は負けた。一人にしてくれ」

五郎は涙声で言う。
メイドカフェ如きでここまで落ち込んでいるのかっ!?

「あははははっ! 愚民よ、ひれ伏しなさい!」

「うわぁぁぁぁっ!」

優子の言葉がトドメをさしてしまったようだ。
五郎は情けなく泣いていた。

< 11 / 21 >

この作品をシェア

pagetop