虚空を眺めて
月彦は夢を見た。
誰かが、自分を呼ぶ。
そんな夢。
ただ、月彦は闇の中にいる。
その中で、聞こえて来るのは【声】。

【・・・力を・・・】

あまりにも声が小さすぎて、男なのか女なのか。
大人なのか子供なのか・・・よくわからない。
聞き間違いでは、と思わせるほどに弱弱しい声だったが、
どこか腹を立たせる声だった。

【力を・・・】

再びその声が聞こえた。
少しずつ、近づいてくる。
そんな気配がしてくる。
しかし、周りを見ても闇。
夜の闇よりも暗い闇。
しかし、その闇は何故か、近くに感じれる。
親しみに近い感情を感じることができる
闇だった。

【力を貸しなさい・・・】

っと、その時。
はっきりと、声が月彦の耳に届いた。
その声は若い女の声だった。
だが、普通の女性の声よりは、少し低めだと思う。

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